Godot 4.7 の更新は、ひとつの大型機能だけが目立つものではありません。日常的な開発体験に効くエディター改善が多く含まれています。見た目は小さな変更でも、シーン構築、ノード調整、アニメーション作成、UI 配置、モバイル入力設定をよく行う場合は、繰り返し作業をかなり減らせます。
ここでは、実際の利用シーンごとに注目すべき機能を整理します。
要点
Godot 4.7 で注目したい改善は、主に次の 4 つです。
- エディター作業がよりスムーズに:プロパティカテゴリをコピー・貼り付けでき、ノードドラッグ時の階層表示が見やすくなり、ポップアップやドロップダウンで検索できます。
- 3D シーン構築が楽に:
Path3Dがコライダーに吸着でき、頂点スナップでオブジェクトを揃えられます。 - アニメーションとライティングが強化:アニメーショントラックを折りたためるようになり、
AreaLight3Dが追加され、テクスチャでエリアライトの見え方を制御できます。 - エコシステムの入口が更新:公式アセットストアが登場し、今後プラグイン、素材、商用アセットの受け皿になっていきます。
通常のプロジェクト開発者にとって最初に感じる変化は、レンダリング設定の変化よりも、エディター上の細かな手間が減ることです。
プロパティカテゴリをまとめてコピー・貼り付けできる
以前は、Inspector でノードの Transform、サイズ、その他の分類されたプロパティをコピーする場合、値をひとつずつコピーする場面がよくありました。Godot 4.7 では、カテゴリ単位で値をコピーできるようになりました。
たとえば、2 つのオブジェクトがどちらも Node3D を継承している場合、あるカテゴリのプロパティをコピーして、互換性のある別のオブジェクトへ貼り付けられます。Transform、パラメーター、表示設定を何度も同期する場面で便利です。
派手な機能ではありませんが、毎日の作業で効いてくるエディター改善です。
ノードツリーのドラッグ階層が分かりやすくなった
Scene ツリーでノードをドラッグするとき、Godot 4.7 ではそのノードがどの階層に配置されるかを示す表示がより分かりやすくなりました。
複雑なシーンでは特に役立ちます。以前は、複数階層のノードを移動するときに親子関係を間違えやすいことがありました。新しい視覚的なヒントにより、シーンツリー整理時の誤操作を減らせます。
Path3D がコライダーに吸着できる
Path3D では Snap to Colliders を有効にできるようになり、パスポイントをシーン内のコライダー表面へ自動的に吸着できます。
この機能は次の用途に向いています。
- AI の巡回ルート
- 敵キャラクターの移動パス
- 地形に沿って移動するキャラクター用の補助線
- 表面に沿った 3D パスの作成
以前は、地面やモデル表面に合うようにポイントの位置を手作業で調整する必要がありました。今はコライダー表面に沿って、より直接的にポイントを配置できます。
3D 頂点スナップが直感的に
Godot 4.7 では頂点スナップも追加されました。オブジェクトを移動するときに B を押しながら頂点を基準点として選び、シーン内の別オブジェクトの頂点へ吸着できます。
これはモジュール式シーンで特に便利です。
- 建築パーツの接続
- 壁、床、足場の角合わせ
- ローポリモデルの配置
- グリッド型、ブロック型レベルの作成
座標入力や通常のスナップより、「この角をあの角に合わせる」という感覚に近い操作です。
アニメーショントラックを折りたためる
Animation エディターでは、キーフレームトラックを折りたためるようになりました。
キャラクターや UI 要素に多くのトラックがあると、タイムラインが長くなり、探すのも管理するのも大変になります。トラックを折りたためば、今見ていない部分を隠せるため、編集画面がかなり見やすくなります。
複雑なキャラクターアニメーション、UI モーション、複数プロパティを扱うキーフレームアニメーションに役立ちます。
AreaLight3D が追加
Godot 4.7 では AreaLight3D が追加されました。画面、ライトボックス、発光パネルなど、広い面積から光を出すオブジェクトを表現するためのエリアライトとして使えます。
AreaLight3D の重要な点は、エリアライトとして発光できるだけでなく、テクスチャも利用できることです。画像や色のテクスチャを設定すると、その見た目に応じた光の効果を作れます。
よくある用途は次の通りです。
- テレビやモニターが近くの床を照らす表現
- 看板、ネオン、発光パネル
- 色付きの窓明かり
- SF 風 UI や室内スクリーンの光
以前はこうした表現に複数のマテリアルやライト設定が必要になりがちでしたが、より直接的に扱えるようになりました。
仮想ジョイスティックが内蔵
Godot 4.7 には仮想ジョイスティックコントロールが内蔵されました。以前はプラグインや自作実装に頼ることが多かった機能を、プロジェクト内で直接追加して設定できます。
設定できる項目は次のようなものです。
- 外側リングのサイズ
- スティック部分のサイズ
- デッドゾーン
- 入力マッピング
ui_left、ui_right、ui_up、ui_downなどのアクション名
モバイルゲーム、タッチ操作のプロトタイプ、ツインスティック操作、モバイル対応には実用的な追加です。
ポップアップとドロップダウンが検索対応
Godot 4.7 では、多くのポップアップやドロップダウンメニューで動的検索が使えるようになりました。
リソース、型、形状、オプションを選ぶときに、長いリストをスクロールする代わりにキーワードで絞り込めます。小さな改善ですが、エディターを頻繁に使う人にはかなりありがたい変更です。
Control ノードが Offset Transform に対応
UI 開発では、Control ノードの Offset Transform も注目すべき新機能です。
UI 階層では、親の Control 設定が子コントロールに影響することがよくあります。以前は、子コントロールだけを視覚的にずらしたい場合、親のレイアウト、位置、変換の制約に引っかかることがありました。
Offset Transform を有効にすると、位置や回転などの視覚的な属性をより簡単に上書きできます。主に見た目の配置に使う機能なので、当たり判定やインタラクション領域も動かしたい場合は、必要に応じて更新オプションを確認します。
向いている用途は次の通りです。
- UI アニメーション
- ボタンの特殊な動き
- 子コントロールの局所的なオフセット
- 親レイアウトを壊さない視覚調整
HDR、Drawable Texture API、Mesh Library の改善
エディター上で直接見えやすい機能以外にも、Godot 4.7 には低レベル機能とワークフローの更新があります。
- HDR 対応がすべてのプラットフォームに広がりました。
- 新しい
Drawable Texture APIが追加されました。 Mesh Libraryが改善され、GridMap編集が扱いやすくなりました。
すぐに全プロジェクトで使うとは限りませんが、レンダリング、ツール開発、レベル編集では長期的に意味のある更新です。
公式アセットストアが登場
Godot 4.7 では、新しい公式アセットストアのインターフェースも登場し、旧アセットライブラリを置き換える流れになっています。
新しいストアでは、リソース詳細、プレビュー、バージョン情報、更新履歴、ソースコードへのリンクなどをより統合された画面で確認できます。アセットへのいいねや投票も可能です。
ただし、移行には時間がかかります。古いアセットの多くはまだ完全には移行しておらず、すべてが審査済みまたは掲載済みというわけでもありません。商用アセットも将来的には扱われる可能性がありますが、現時点ではまだ様子を見る段階です。
アップグレードする価値はあるか
すでに Godot 4.x 系を使っているプロジェクトなら、Godot 4.7 の魅力は主にエディター効率と日常的な開発体験にあります。
まず試す価値が高い機能は次の通りです。
Path3Dのコライダー吸着- 頂点スナップ
AreaLight3D- 内蔵仮想ジョイスティック
- アニメーショントラックの折りたたみ
ControlのOffset Transform- 新しいアセットストア
開発中の本番プロジェクトでは、プラグイン、エクスポートテンプレート、レンダリング結果、プラットフォーム互換性を、コピーまたはテストブランチで先に確認することをおすすめします。
新規プロジェクトや学習用プロジェクトなら、Godot 4.7 はそのまま試す価値があります。